イギリスで生きてみる
by pirimiso
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こころのハリケーン
「警告を受けてたのに避難しなかったのが愚かなのだ。」

「愚かと決め付ける事こそ愚かだ。
彼らが貧しくて避難するための車をもっていない事を思いやるべきだ。」

「略奪や発砲やレイプ!混乱の中とはいえ恥を知れ。」

「白人が食品店から食べ物を取ったら“食料を確保”と言い、黒人だと“略奪”と言う。
生き残るための行為にさえ差別で分け隔てをするのか!・・……………………
・・…………………………………

被災地の混沌と同じく、インターネット上の情報とそれをめぐる論争も激しく入り乱れる。
日本では普段でも、一部の過激な人たちを除いてネットでのやり取りは
「歯に衣を着せて?あたりさわり無く」が常識となっているから
実際に生死の境という状況にいる被災者について
ここまであからさまに言うアメリカ人には驚かされる。

「車」についてのアメリカ人の感覚にも????
“貧しくて車がないから逃げられない”
本当だろうか?

被災者もその他大多数のアメリカ人も、何の疑いも持っていないように見える。
病気の人も高齢者もいるのだから困難なケースもあるが、
通常、人は車が無くても歩いて10キロでも20キロでも逃げることができるのだ。

インドネシア沖津波の際、昔からの言い伝えが記憶されていた村では
遠く離れた山頂に避難して全員無事だったというケースがあった。
彼らがみんな車で避難したとは思えない。

アメリカ車社会の「通念」による洗脳が、
大勢の人々が避難することを躊躇させたのではないかと疑ってしまう。

アメリカ滞在時、何度言われたことだろう。
「そんなところまで車なしで行けないよ。」
「歩くなんて、あぶないから止めなさい。電話をくれたら迎えに行くから。」
あんまりにも車に依存しきっている人々は、歩くことなど念頭からないのだ。

そういうアメリカンのありがたい忠告を聞き流し
歩いていると時々通行不能な場所に行き当たる。

“道路”が前にずーっと横たわり、向こう側に渡れないのだ。
歩道者が通れる抜け道トンネルのようなものは無い。全く無い。
車の来ない合い間をねらって道路を突っ切ることも不可能だ。
中央分離帯に高くそびえるフェンスがあるのだから。

郊外を歩いていると時々そういう道路に出会う。
道路の向こうにあるスーパーマーケットに行きたいのに渡れないということがある。

スーパーは閑静な住宅街を通り抜けた向こうにあり
ワタシが道路に阻まれてたたずむのは、
その地区では治安がよろしくないとされている区域であったりする。

どうやら、道路は金持ち地区と貧乏地区を分離する壁の役割をはたしてるみたいやで…
いやらしーやり方やなー…
アパルトヘイトを非難したアメリカの実際がコレかい・…

つぶやきつつも、道路に沿って歩きつづけ1時間以上
やっと向こう側へ渡れる、と、見ると、すでにそこはダウンタウンであった。

ワタシが歩き回っていたのはカリフォルニアのごく一部の田舎である。
その体験をもって、他の土地についてとやかく言うことはできないが
人が歩いて移動する事をほとんど想定していない道路事情が
ハリケーンの被災地区にもあったのかもしれないな、と思う。

貧しい人々を囲い込み、車が無くては越えられない道路という姿をした「壁」が
立ちはだかっていたのかもしれない。

ニューオリンズが今、必要なもので寺田直子さんが書かれているように、
「本当にアメリカに必要なのは、お金では手に入れられないもの」

莫大な復旧費用をつぎ込んで、道路網や建物を再建しても
社会のベースにある意識が変わらなければ
貧しさに荒れる心を救う事はできないのだ。

今なお人々の間に吹き荒れつづけるこのハリケーンは
アメリカにある「壁」を崩すことができるだろうか。
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by pirimiso | 2005-09-06 22:19 | 日々の怒り?
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